それでも自分軸で生きることを選ぶ理由──比較を手放した先に見えた“静かな満足”を考察します。
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比較を手放す勇気|FIRE後に見えた“静かな満足”と自分軸の生き方
FIRE後の暮らしは、時間のゆとりと引き換えに、SNSや周囲との“差”が可視化されやすい環境でもあります。
それでも私は、毎日を「自分軸」で選び直すことを習慣にしました。本稿では、比較を手放すための視点・実践・揺らぎへの対処を、内省的にまとめます。
なぜ「比べない」はむずかしいのか
「他人と比べない」は、もっともシンプルで、もっとも難しい生活術です。
とくにFIRE後は、時間の余白が増えるぶん、他者の時間の使い方や成果が目に入りやすい。SNSのタイムラインは、他者の“ハイライト”で満ちています。そこに自分の“今”を重ねれば、自然と差分が浮かび上がるのは当然です。
では、どうやって比較のスパイラルから抜け出すのか。鍵は、評価軸を外に置かないこと。そして「静かな満足」が育つ環境を、自分の手で整えることです。
比較を手放すための三つの視点
① ものさしの棚卸し:自分の「ものさし」は誰のもの?
収入、肩書き、フォロワー、資産額、ライフイベントの達成度――。私たちは無自覚のうちに、誰かの“ものさし”を自分に当てています。
最初の一歩は、自分が拠って立つ「評価軸」の棚卸しです。
- その指標は、昔の上司・同僚・家族・SNSの空気から借りていないか?
- 今の自分が大切にしたい価値(健康・家族時間・創作・地域との関わり etc.)と一致しているか?
- 「比較される側」になるほど、その指標は変動や偶然要素に左右されていないか?
もし違和感が残るなら、指標そのものを差し替える。たとえば「体重」ではなく「睡眠の質」「朝の気分」「家族の笑顔の回数」。
数字の“測りやすさ”に引っ張られず、暮らしが本当に良くなる指標を前に出します。
② 入力の設計:SNSは“栄養表示”を確認して摂取する
比較を加速させる最大の装置がSNSです。完全にゼロにする必要はありませんが、「入力の設計」はできます。
- 時間帯を決めて見る(朝イチ/就寝前は避ける)
- ミュート・非表示・リスト化で「ハイライト過剰」を減らす
- 学びと癒やしの“良質アカウント”を意識的に混ぜる
- 週1回の「デジタル断食」で、比較中枢をリセットする
食事に栄養表示があるように、情報にも“栄養価”があると考える。
受け取る情報の質が整うと、自分の内側に沈黙のスペースが生まれます。
③ 小さな可視化:目に見えないものを、見える形に
承認欲求は“目に見える成果”に寄りがちです。そこで、目に見えない豊かさを、あえて可視化します。
- 日記に「今日の良かった3つ」を毎晩メモする
- 家族時間・運動・睡眠の「実施記録」を残す
- 月次レポートで“何に時間を投資したか”を振り返る
数字になりにくいものを記録しておくと、静かな満足は「実感」へと変わります。
それでも揺らぐ日に:自分を守るルール
比較は習慣です。ゼロにはできません。だからこそ、揺れた日に備えた“自分を守るルール”を用意しておきます。
- 3つ息を吐く:呼吸の主導権を取り戻す(副交感神経スイッチ)
- 10分の散歩:視界を横に流すと、反すうが止まりやすい
- 体を動かす:ジム/自重トレ/ストレッチで思考の霧を払う
- 他者貢献のタスク:誰かの小さな困りごとを1つ解決する
皮肉ですが、他者貢献はもっとも自分を救う習慣です。
「自分軸」は自己中心ではなく、“自分の基点を確かめた上で、他者と関わる”姿勢のことだと今は感じています。
「静かな満足」を育てる週間プラン(例)
| 時間帯 | 行動 | ねらい |
|---|---|---|
| 朝 | 画面前15分の読書/軽い運動/今日のToDoを3つ | “入力の設計”で外的比較をオフにして始める |
| 日中 | 深い作業90分×2/SNSは昼休み15分だけ | 集中と休息のリズムで自己効力感をキープ |
| 夕方 | 散歩20分/日中の良かった3つをメモ | 思考の切替/小さな達成の可視化 |
| 夜 | 家族との時間/ストレッチ/就寝前はノースクリーン | 睡眠の質UP=翌日の“軸”を守る最大投資 |
| 週末 | デジタル断食半日/自然・創作・運動 | 比較中枢のリセット&静かな満足の補給 |
それでもSNSはやめない理由
私はSNSを“対話の場”として最適化して使い続けています。
比較の燃料にもなりますが、学びや縁の種にもなるからです。大切なのは、どの距離感なら健やかかを知っておくこと。
自分にとっての最適距離は、「時間の枠」×「見るリスト」×「発信の意図」の掛け算で決まりました。
比較を手放した先に残るもの
比較を手放すと、誇張された達成より、ふつうの一日が輪郭を取り戻します。朝のコーヒー、家族との会話、体が軽いこと、眠りの深さ。
どれも検索結果には並びませんが、人生の底に静かに積み重なっていく“リターン”です。
誰かより上か下かではなく、昨日の自分と比べて、今日の自分が好きかどうか。
私の“自分軸”は、この問いに正直であることから始まりました。


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