新型iPhone設定の簡単さに驚いた日――技術進歩と「お金の価値」をどう引き出すか

FIRE

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先日、iPhoneを買い替えた。前回はiPhone 6 → 11のときで、バックアップや初期設定に手こずった記憶が強い。ところが今回は肩透かしを食らうほどスムーズ。旧端末を隣に置いて数回タップ、心配していたeSIMの切替も拍子抜けするほどあっさり終わり、写真もアプリ配置もそのまま。指先の緊張がふっと抜けて、「これ、昔の苦労は何だったんだろう」と笑ってしまった。

手続きは劇的に“ラク”になった。でも、できることは劇的には増えない

移行の簡単さに感動して、「せっかくだから何か新しいことを始めよう」と機能をひと通り探検。結果は正直に言えば――体験は確かに良くなったが、生活の中で劇的に“新しくできること”は多くない。動画はぬるぬる動くし、読み込みは「めちゃくちゃ速い」と実感するレベル。けれど、それ以外は「昨日までと同じ暮らしの延長線」でうまく回る。

格闘漫画の名台詞で「1万円のご飯が10万円で10倍おいしくなるか?」という比喩がある。今回、まさにそれを思い出した。値段に比例して体験が10倍になるわけではない。ただ、確かに“気持ちの引っかかり”は減る。もたつきがない、待たされない、撮り損ねない――この積み重ねが日常のストレスを確実に削ってくれる。

「2世代前と大差ない」? 6世代前からでも“劇的”ではないかもしれない

購入前、ガジェット・節約系の動画や記事をかなり漁った。あるYouTuberは「今回のiPhoneは2世代前とできることは大きく変わらない」と言っていて、当時は半信半疑だった。ところが、6世代前からのジャンプでも、日常ユース(連絡・記録・軽作業)に限れば“できることそのもの”は実はそこまで変わらないのかもしれない、と今は感じている。重い編集や生成AIワークを回すヘビーユーザーなら別世界だろうが、僕のように家族記録とブログ作業が中心の使い方では「速い・滑らか・失敗が減る」という質の改善が主役だ。

それでも迷いが消えた理由――“今しかない表情”を確実に残す

それでも買い替えに迷いがなかったのは、運動会でのあの笑顔が決め手だった。退場列で先生とハイタッチしながらカメラの前を通る一瞬、子どもがこちらに向けた最高の笑顔。後から見返したらピントが甘く、暗部が潰れ、わずかにカクついていた。「ここを確実に残せる道具がほしい」――その思いが背中を押した。妻にも相談し、「あの笑顔が綺麗に残るなら賛成」と即答。高い買い物ほど、家族の合意が満足度を底上げしてくれる。

最新にしたからこそ、今しか試せないことを探す

最新機種を手にするのは久しぶりだ。だからこそ、今しか触れない新しい使い方を探したい。例えば、

  • 夜間の運動会・学芸会でもノイズを抑えて撮る撮影プリセットづくり
  • 家族アルバムを自動ハイライト化して、毎週末“1分ムービー”で振り返る習慣
  • 位置情報・カレンダーと写真を紐づけて「思い出の地図」を可視化

こういう“生活アップデート”は、機能そのものよりも設計と習慣の話だ。端末を新しくすることはゴールではなく、暮らしの回路を少しだけ賢く張り替えるチャンスだと思う。

10万円超の買い物で考えたこと――“長くワクワクできるか”が判断軸

10万円を超える買い物は久しぶりで、自分の中の“もったいない病”が顔を出した。FIREを目指してきた期間の習慣は強い。壊れていないなら延命、まだ動くなら先延ばし――その考え自体は今も大事だ。けれど今回は、「長くワクワクできる余地」を基準に置いた。撮影の成功率が上がる、家族の記憶がより鮮明に積み上がる、日々の小さなストレスが減る。これらは購入当日にフルで回収できる価値ではないが、数年かけて確実に効いてくると信じられた。

お金の価値は、時間の中でじわっと立ち上がる

「体験や記憶にお金を使うべき」という言葉をよく目にする。今回の買い替えは、その“体験”をより確実に記録するための道具への投資だった。買ってすぐに10倍幸せになるわけではない。けれど、家族の年表が積み上がるたびに、じわっと価値が立ち上がる種類の買い物だと思う。

手放す前のiPhone 11 Proを眺めると、やっぱり愛着がある。通学路の桜、初めて自転車に乗れた日、眠そうに笑う寝起きの顔。次の相棒にも、そういう記憶をたくさん入れていきたい。

結論――“速さ”より“残したいもの”で選ぶ

設定は驚くほど簡単になった。性能も確かに上がった。だが一番の収穫は、「自分は何のために端末を新しくするのか」を言語化できたことだ。僕の場合は「今しかない家族の表情を、確実に、気持ちよく残すため」。この軸が腹に落ちるなら、価格に見合う価値は時間の中で回収できる。

これからも、長くワクワクできるものに、お金を丁寧に使っていきたい。


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