先日、子どもの運動会があった。ここ最近は、保育園・小学校のお迎え、帰宅後の何気ない会話、食事中、お風呂、寝る前と、一日のあちこちに子どもと話す時間がある。その中で、今回の運動会に向けた意気込みや、練習での様子を少しずつ聞いていた。
「リレーでアンカーなんだよ」「練習で一番になれた日があったんだ」
そんな話をしながら、いつもより少し誇らしそうな顔をしていたのが印象的だった。
本番で見せてくれた、悔しさと誇りの表情
迎えた当日。うちの子は足が速いほうらしく、かけっこやリレーでもクラスの中心メンバーとして走ることになっていた。同じチームで2回走る場面もあり、親としてはハラハラしつつカメラを構える。
結果は2位。練習で1位を取ったこともあっただけに、ゴール後には悔し涙も見せていた。でも、その悔しさは「本気で勝ちたかった」という気持ちの裏返しだと分かる。スタート前の表情、走るフォーム、抜こうと食らいつく姿勢。チーム戦ならではの難しさも含めて、プロスポーツ観戦以上に心を揺さぶられるレースだった。
ふざけん坊が見せた「本気の顔」と、あの一瞬の笑顔
組体操もあった。普段は家でふざけてばかりいる我が子が、全体の緊張感の中で終始キリッとした表情を崩さず、一つひとつの動きを丁寧にこなしていく。その姿を見て、正直「大きくなったなぁ」とこちらの背筋が伸びる思いだった。
そして、組体操が終わり、退場の列で先生とハイタッチをしながら歩く場面。僕は最前列でスマホを構え、録画ボタンを押していた。その前をうちの子が通りかかった瞬間——さっきまでの真剣な顔から一転、最っっ高の笑顔で大きく手を振ってくれた。
その一瞬を、なんとかカメラは捉えてくれていた。画面越しに見返したとき、涙腺が一気にゆるんだ。
「この動画のためなら買い替えていい」夫婦でそう思えた
運動会が終わってから、妻と一緒にその動画を見返した。
「この笑顔、反則でしょ」「カメラ目線なのすごくない?」
そう言いながら、二人して少し潤みつつ、同じシーンを何度も再生した。
そのとき、ふと別の感情もわいてきた。
「ちょっと、映像がカクついてるな……」
「ピントも少し甘いし、暗いところは潰れてる……」
そこで心の中にストンと落ちた。
「よし、スマホ買い替えよう。」
“もったいない病”と、FIRE民としての葛藤
実はここ数年、「満足度の高いお金の使い方」についてずっと考えてきた。FIREを目指していた時期に染み付いた“もったいない病”が抜けきらず、壊れていない物を買い替えることに抵抗がある。
きっと、同じような感覚の人も多いと思う。
今使っていたのは iPhone 11 Pro。約6年、一緒に働いてくれた相棒だ。性能的には限界が見え始めていたが、「まだ動くし」「写真も撮れるし」と自分に言い聞かせて先延ばしにしていた。
でも、あの運動会の動画を見て思った。
「今しかない子どもの表情を、ちゃんと残せる道具に投資するのは“浪費”じゃない」
そう考えられた瞬間、iPhone 17へのジャンプアップに迷いがなくなった。
大きな買い物は「独りよがり」にしない
もちろん、家族あっての判断だ。購入前には妻にも相談した。
「あの動画、もっと綺麗に残せたら良くない?」
「それはいいね。あれは本当に宝物だね。」
そう言ってもらえて、「よし、それなら行こう」と背中を押された。僕の中では、1万円以上の買い物は基本的に夫婦で相談するルールにしている。FIRE後は特に、「自分だけの満足」でお金を使わない意識は大事だと思っている。
これからも、“残したい瞬間”にお金を使う
今回のスマホ買い替えは、スペック比較や新機能の話ではなく、「何を残したいか」から逆算して決めた買い物だった。高いか安いかは、きっと数年後のカメラロールが答えを出してくれる。
FIRE民的な感覚でいえば、「減らす」「我慢する」だけが正解じゃない。限られたお金だからこそ、自分と家族の心が動く瞬間に、ちゃんと投資していくことが大事だと、あの笑顔が教えてくれた気がする。
これからも、日常の小さなドラマを、できるだけ鮮明に、できるだけ多く残していきたい。そのための道具にお金を使うなら、自分としては一切後悔はない。


コメント